2年に1度開かれる芸術文化の祭典「神戸ビエンナーレ2015」が9月19日、開幕した。
阪神・淡路大震災から10年を機に「文化を生かした創造的な都市づくり」を目指すことを広く発信した「神戸文化創生都市宣言」の取り組みの一つとして誕生した同祭典。神戸に国内外の芸術文化の力を結集してアートのさらなる飛躍を図るとともに、まちのにぎわいづくりや活性化につなげることを目的としている。これまで計8年4回の開催を通じて、多くの人がアートの魅力に触れることができる「広がり」、芸術祭としての「質の高さ」など、「神戸らしい」生活文化を兼ね備えた芸術文化の祭典として進化し続けている。
「アートを生かしたまちづくり(文化創生都市の実現)」を基本方針に、11月23日までの66日間開催。会場は、メリケンパーク、ハーバーランド、元町高架下エリア、フラワーロードエリア、ミュージアムロードエリア(兵庫県立美術館、横尾忠則現代美術館、BBプラザ美術館)など市内各所で、新たに加わった「東遊園地」では、今回の目玉となる初めての夜間展示を行う。
5回目となる今年は「神戸が、スキ」をテーマに開催。メーン展示となる東遊園地での輸送用コンテナを展示空間とした「アートインコンテナ国際展」をはじめ、メリケンパークでの伝統的な空間手法を活用した「しつらいアート国際展」、芸術性のある斬新な玩具「創作玩具国際展」、マンガ・アニメのイラストをテーマにした世界初国際コンペティション「コミックイラスト国際展」、横幅10メートルの絵画作品「ペインティングアート展」、ハーバーランドでの人と自然をテーマにした「グリーンアート展」、BBプラザ美術館での斬新な陶磁作品を展示する「現代陶芸展」などのコンペティションの作品などを展示する。
総合プロデューサーで華道家の吉田泰巳さんは「開催を迎えるにあたって、神戸はどんな街だろうかと考えていた中、『スキ』がテーマに決まった。『スキ』というのは、男女が恋愛して家族になり、その家族が集まって町や村ができ、町や村が集まって国ができていく。『スキ』は全てのものの原点」と話す。「神戸市はデザイン都市を推進しているが、神戸の皆さんはこれを不思議とスッと受け入れ取り入れた。これは神戸市民がいつもデザインに触れているからだと思う。神戸の人たちが好きなものについて、観光などで来られた方にも取り入れていただけているのでは」とも。
アーティスティックディレクターで京都嵯峨芸術大学大学院教授の大森正夫さんは「神戸という街は文化的な資質が高いポテンシャルがある地域。本年度は『Cheers(チアーズ)』という市民の方々が積極的に参加しスタッフとして関わる組織も運営している。これが実現するのは神戸の地域力の高さだと思っている。国際コンペティションという広く世界から芸術作品を求めることに加えて、地域の芸術力を発信しているということにもなる」と話す。
開場時間は、メリケンパーク会場=11時~16時(土曜・日曜・祝日は17時まで)、元町高架下会場=12時~18時、東遊園地会場=日没~21時、ミュージアムロードエリア各館=10時~18時(月曜休館)。入場チケットは、全会場セット券=2,400円、メリケンパーク・東遊園地セット券=1,000円、メリケンパーク=800円、東遊園地=500円、兵庫県立美術館=1,000円、横尾忠則現代美術館=700円、BBプラザ美術館=400円。