見る・遊ぶ 暮らす・働く

神戸・元町で実録映画「東京組曲2020」上映 「コロナ禍の日常」テーマに

ドキュメンタリー映画「東京組曲2020」のワンシーン

ドキュメンタリー映画「東京組曲2020」のワンシーン

  • 75

  •  

 「コロナ禍の日常」がテーマのドキュメンタリー映画「東京組曲2020」の上映が6月10日、神戸・元町商店街4丁目にあるミニシアター「元町映画館」(TEL 078-366-2636)で始まる。

監督の三島有紀子さん

[広告]

 兵庫県では初上映となる同作品。監督を務めた大阪市出身の三島有紀子さんは、18歳からインディーズ映画を撮り始め、神戸女学院大学卒業後NHKに入局。同局では人間ドキュメンタリー番組の企画や監督を務めた経歴を持つ。

 2003(平成15)年、劇映画を撮るために独立したという三島さんはこれまで、映画「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」などヒット作の脚本・監督を手がけている。2015(平成27)年には、中谷美紀さん主演で神戸を制作拠点にした映画「繕い裁つ人」の監督を務めた。「東京組曲2020」は、三島さんのドキュメンタリー映画監督デビュー作となる。

 2020年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が初めて発令された。街から人が消え、先行きのみえないコロナ禍に陥り、誰もが不安な日々を過ごしていた中、三島さん自身の誕生日でもある4月22日の明け方に、どこからか人の泣き声が聞こえてきたことで同作の企画を思い付いたという。

 三島さんは「コロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に、映像に残し、記録として確認しようと思った」と話す。

 「役者たちの暮らしぶりや感じていることを監督が引き出す形で共に作ること」「役者自身もしくは同居人が撮影すること」「『明け方に女の泣き声がどこからか聞こえてくる』というシチュエーションをすべての出演者が共有すること」などを撮影時の要点に置き、「日々の日記をつけようと決めた男性」「舞台が延期となり自宅で過ごすなかで家事に追われる女性」「楽しみにしていた出演作品の映画の舞台あいさつが中止になった女性」「自宅で一人黙々と仕事をする女性」など20人の役者が各自撮影を行い、三島さんが映像全体を監修した。

 制作スタッフは、ラストカットの撮影に今井孝博さん、音楽は田中拓人さんなどが担当した。作品のキーとなる女性の泣き声は、女優の松本まりかさんが担当した。

 同作品の上映時間は95分。「海外の方にも見てほしい」と英語字幕付きで上映する。三島さんが脚本・監督を手がけた佐藤浩市さん主演の短編映画「IMPERIAL大阪堂島出入橋」(15分)も併映する。

 6月10日・11日の上映後はスクリーン前で、三島監督が舞台あいさつを行う。ほか出演者の登壇は、10日=大高洋子さん、加茂美穂子さん、小松広季さん、松本晃実さん、11日=加茂美穂子さん、小松広季さん、松本晃実さん。

 三島さんは「誤解を恐れず言うと、阪神・淡路大震災を取材した経験から文化芸術は絶対に不要不急ではない。最初は当然、寝る所・食べる物・排泄する所が必要になるが、その次に必要になるのは文化芸術。人生を破壊されたと思っている人々にとって、気分を明るくしてくれる落語や映画、演劇に小説に音楽、そういったものがないと本当に生きていけないということを目の当たりにした。生きることは楽しむことなんだと肉体に気付かせてくれる心の命綱みたいなもの(が文化芸術)」と話す。

 5月8日、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが「5類」に移行にしたことを受け、三島さんは「『会いたい』『触りたい』といった、あの時に強烈に感じた欲求が今はもうほぼできるようになっている。でも今、我々は意識的にそれができているのか。そのことを問い直すと言ったら偉そうだが、ちょっと心に留めてもらえたら」とも。

 上映時間は17時30分~。英語字幕付き。入場料金は、一般=1,700円、学生=1,000円、60歳以上=1,200円。6月16日まで。

ピックアップ

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース