三宮センター街2丁目商店街振興組合(神戸市中央区三宮町2)が1月15日、防犯の取り組みとして導入した最新式の可動式刺股(さすまた)を公開した。
阪神・淡路大震災発生後、損壊した店舗の金品が狙われることを防ぐため、若い商業者を中心に自警団を組織して街を守っていたという三宮センター街。平日・休日問わず多くの人が集まる同商店街では、震災当時の教訓を生かし、万が一の備えが重要と考え、全国に先駆けて私服警備員が巡回、防犯カメラも設置してきた。
それらの対策が奏功し、大きな事件などは発生していないが安全確保にはさらなる対策が必要と、震災時に自警団として街を守った世代が同振興組合の理事となり対策を協議。昨年秋に江戸時代から使われている従来の半円形刺股2本を防犯対策として導入したが、使い慣れていない場合は複数いたとしても取り押さえるのが困難という問題も上がっていた。
このほど、従来の欠点を改良した最新式刺股「セキュリティセイバー」を導入することになり、同組合員に向けて初公開した。最新式は、暴漢の体に柄の中心を押し付けるとアームが伸びて胴回り全体を囲み込むことが最大の特徴。1本での取り押さえも可能になり、暴漢を負傷させることなく身動きを封じることができる。取り外し可能なLEDライトと防犯アラームも装備し、緊急時に援助などを求めることもできる。
同振興組合の企画・商業復興担当の藤井淳史さん(「毛利マーク」社長)は「これまで商店街では大きな事件や事故は起きていないが、世の中では秋葉原の無差別殺傷事件などのように多くの人が集まる場所での事件は増えている。今回のように防犯意識や取り組みを公にすることで犯罪をやりにくい状況をつくり、結果的に犯罪予防になると考えている」と話す。